劣等感をくいものに
世間は夏休み。
子どもが街にあふれかえる季節がきた。
教師を辞めて4ヶ月、文章を書く仕事ができたらいいなと思い、修行中の日々。
面倒を見てもらっている講座からは、様々な課題が出される。
「『海』をテーマにファッション誌と週刊誌に企画を作れ!」
「取材を依頼するときの文章を書いてこい!!」
などなど。そして大概ぶった切られてへこんで、またつくるの繰り返し。
今まで身の回りのものはすべて教材になるかどうかという目でみていたのが、
今度は書くためのネタになるかどうかという目にかわった。
そんなある日。
電車の中刷り広告を見ていると、目を引くコピーには3種類あることに気づいた。
1.クスリと笑える現状の描写もの
2.前向きな未来やおしゃれな自分を妄想させるもの
3.いまある不安をさらにあおるもの
本に関して言えば、ファッション誌やライフスタイル誌は2、書籍や週刊誌についてはほとんどが3なのではないだろうか。
1って商品と違ってあまりみかけないような。
2については、雑誌の世界に酔いしれて「自分、ステキ!」という気分になるのは、自分も傍から見ていてもおもしろいからいい。
しかし3のようなネガティブキャンペーンが売れる意味がずっとよくわからなかった。見た人の気分を害するだけではないのかと。
だが、意外と効果があるらしい。不安になって、記事を読んでしまうのだそうだ。なんと卑怯な・・・。
ネガティブキャンペーンと、久々にやり玉にあがっている、いじめの本質は同じだ。
人を傷つけて束縛し、自分の欲求を満たす道具にしてしまおうとする思惑が根本にあるという意味で。
それはおもしろいことを考えたり見つけたりするより簡単なので、つい手が伸びてしまう考え方なのかもしれない。
小物だなあと嘲笑することは簡単だが、たしかにそういう心の弱さ、浅はかさは私にもあるから笑えないなあ。
それでも、ネタに困っても人の不安につけこんだ記事を書いてはいかんと自戒を込めて思う次第。
なぜなら人目にはとまっても乙女力さがりそうだからね!
肉食系乙女を生業とする者としてはアイデンティティの崩壊で困っちゃうワケなのです。