チーズが消えたら困る
我が家の冷蔵庫にはつねに3種類のチーズがある。スライスチーズ・とろけるチーズ・おやつ用の塊チーズである。どれかが切れるとすべてにおいてやる気がなくなる。
日本の誇るガラパコスチーズともいえるプロセスチーズがとくに好きだ。
チーズ愛好家がおもに好むチェダーやらカマンベールやらの本場なチーズ(ナチュラルチーズという)は生乳に菌を混ぜて撹拌し固めるという製法でつくられる。
菌が生きているのでほっといても熟成がすすむ。
一方プロセスチーズはナチュラルチーズを何種類か混ぜて乳化剤で固めて菌を殺す。
そのため一定の安定した品質を保てかつ日持ちする。そして安い。
双子っぽいけどちがうんです—スライスチーズととろけるチーズ—
同じ企業のスライスチーズととろけるスライスチーズはつねに売り場で隣り合って並ばされている。この2つのちがいを雪印のとろけるスライス(以下「とろける」)と普通のスライス(以下「ふつうの」)で比べてみた。
炊き立ての米飯にのせて試食した。
とろけるはのばすと最高13cmのびた。塩味が利いている。
ピザやグラタンの上にのるチーズの味だ。
ふつうのは引っ張るとぶつぶつ切れる。
ミルクがゆを食べているような牛乳の味を強く感じた。
食べたことのない新鮮な味である。
しかしちょっとひと味足りない。塩を足してしまった。
マイルドで意外といけるんだけど惜しい。
次は生食で食べ比べた。
とろけるはものすごくエグい。一口たべてすぐほかほかご飯に混ぜてしまった。
ふつうのは普通においしい。そもそも生食用なだけある。
原材料を見比べると、ふつうのはナチュラルチーズと乳化剤だけなのに対し、とろけるはその2つにさらに安定剤(増粘多糖類)と調味料(アミノ酸等)が添加されている。
ちがいはそこか!
雪印を使った理由は、この企業のチーズ愛が変態的といえるほど突出しているからである。
日本を代表するチーズの製造企業のホームページを見ると、たいてい自社製品のウリとQ&A、チーズレシピでお茶を濁している。
しかし雪印はちがう。
「チーズクラブ」という専用のサイトがある。
チーズの歴史、種類別製法、世界のチーズなどの基礎知識にとどまらず、
「チーズカレンダー」という季節ごとにぴったりなチーズおよびシチュエーション別の食べ方を紹介するコーナーまで、
ありとあらゆる情報が網羅されているのだ。
ほかの乳製品についてはそこまでじゃないのに…どうしてこうなった。